「魚料理に合うワイン」についてご紹介いたします。
もくじ
基本的には白ワインを合わせるのが良い
「魚料理に合わせるワインは、白ワインが正解」とずっといわれてきました。これはある一面の真実でもあると同時に、絶対的な真実でもありません。
「魚料理」と一口にいってもその種類は千差万別です。素材や料理方法、また魚以外の材料などによって、「相性の良いワイン」は異なります。たとえば、赤身魚(カツオなど)は比較的赤ワインとなじみやすいですし、トマトソースなどを使った魚料理の場合は白ワインはもちろん赤ワインともよく合います。
このため、一概に、「魚料理には白ワインしか合わせてはいけない」「魚料理には赤ワインは合わない」と言い切ることはできないのです。
ただそれでも、「迷ったのならば白ワイン、あるいはスパークリングワインを選んだ方が失敗は少なくできる」とはいえます。白ワインは言うまでもなく魚料理に良く合うといわれているものですし、スパークリングワインは汎用性が高く前菜~魚料理には特によく適応します。
そのため、「とりあえず材料だけは買ってきたけれど、何を作ろうかは決まっていない」「詳細な相談ができる環境にはない」「家で思い立ったときに飲みたいので、何本か置いておきたい」「どんな魚料理を持ってくるかわからない」などのときは、白ワインやスパークリングワインを選ぶと良いでしょう。
また、人によって多少好みは分かれるものの、一般的には赤ワインよりも白ワインの方が、白ワインよりもスパークリングワインの方が飲みやすいとされています。
そのため、「多くの人が集まる席」「ワインに慣れていないゲストがいる席」「自分自身がそれほどワインに慣れていない」などの状況のときにも、スパークリングワイン(や白ワイン)は大活躍します。
さまざまな産地、さまざまなブドウのワインと魚料理を合わせる
ワイン選びにおいて、「料理とのマリアージュ・ペアリングを考えること」は非常に重要です。またこれは、ワイン選びの楽しみのうちのひとつでもあります。
ワインは非常に千差万別なお酒です。同じブドウからつくられたワインであっても、産地が異なれば味わいは大きく異なります。またワイナリーの醸造家によっても、その味わいは大きく異なります。
同じラインのワインであっても年代が違えばそれが味にも反映されます。ここでは「保管状態は同じ」を想定してお話をしていますが、同じワインであってすら、温度の変化によって味が変わってきます。
そのため、「魚料理と合わせるワインの出自」は、食卓のおいしさを決めるうえで非常に重要な要素となってきます。ひとつの魚料理に対して複数の国のワインを合わせて楽しむのも面白いものです。また、1回で複数本のワインを開ける場合は、違う国の違うブドウのワインをそろえてもよいでしょう。
ただ同時に、「同じ国、同じ地域のワインを中心として、魚料理とのマリアージュ・ペアリングを考えること」もなかなか面白い試みです。
同じ地域で作られるワインでも、種類やワイナリーが違えば味が異なります。したがって、合わせるべき魚料理も異なってきます。このような楽しみ方を覚えれば、その地域でつくられているワインの特性をより良く把握できますし、同じ地域でつくられているワインであってもその味わいがあまりにも大きく異なることに驚きを感じることもできるはずです。
そのためここでは、あえて、イタリアのロンバルディア州でつくられているワインだけを取り上げ、そのワインと合う魚料理を模索していきます。
たんぱくな白身魚に、「添え物」の代わりとして使えるサン クリストーフォロ フランチャコルタ ブリュット
魚料理に限ったことではありませんが、ワインと料理のマリアージュ・ペアリングを考えるとき、「料理を主体としてワインを考えるか、ワインを主体として料理を考えるか?」が必ず議題に上がってきます。この2つは、もちろん、どちらかが正しく、どちらかが間違っているといえるものではありません。方法論や考え方の違いです。
ただ、サン クリストーフォロ フランチャコルタ ブリュットと魚料理の相性に関しては、前者の説を採用しているといえるでしょう。
サン クリストーフォロ フランチャコルタ ブリュットは、レモンイエローの色を持っており、リンゴやパイナップル、洋ナシなどの陽気で華やかな果実の香りを持ちます。
食中に楽しむお酒に求められるうま味とドライさを持った苦みを持ちながらも、その鮮やかな果実感は多くの人を魅了しています。
サン クリストーフォロ フランチャコルタ ブリュットは、単品でもおいしいワインですが、サン クリストーフォロ フランチャコルタ ブリュットの持つ豊かな香りは魚料理に新しい味わいを付け加えてくれます。白身魚のつけ添えとしてよく利用されるレモンやゆずなどのように香りを持った果物と同じように、魚料理の味を際立たせてくれる1本なのです。
そのため、淡泊な風合いを持つ白身魚や、さっぱりと食べたいカルパッチョと非常によくマッチします。
ちなみに、タレッジョなどのクセのあるチーズや、濃厚な味わいに仕上げられることも多いイタリアン全般ともよく合います。汎用性の高い1本でもあります。
フランチャコルタ ブリュット
生産者: サン クリストーフォロ
辛口のスパークリングワイン。
旨味を伴った苦味を感じつつも、非常に果実味豊か。
どんなお料理にも合わせやすい万能の1本。
価格: 6,380円(税込) [会員価格あり]
「白ワインらしい」使い方ができるブレダソーレ ピオ・エル
次に紹介したいのが、「ブレダソーレ ピオ・エル」です。
おそらくブレダソーレ ピオ・エルは、多くの人が「魚料理に合わせるワイン」と聞いたときに、もっともイメージしやすい白ワインのうちの1本であろうかと思われます。
ボディはしうっかりしているものの重すぎず、まろやかでいながらも凝縮感があり、果実味と酸味にあふれています。また、新鮮さもあります。
バターを使って作る白身魚のムニエル(特にレモン汁をつけたもの)、ヒラメやマス、脂身の少ない白身魚とよくマッチします。酸味の強い料理とも好相性で、魚料理に合わせやすいワインだといえます。
加えて、白身魚を一度揚げてからオリーブオイルや各種のビネガーにつけこんで作るエスカベッジュともとても相性が良い1本です。
魚料理であるならば、ある程度どんな調理方法とも合わせやすいのも魅力のワインです。
そのため、よく魚料理を楽しむご家庭ならば、1本冷蔵庫に入れておいてもよいでしょう。
ブレダソーレ ピオ・エルは4000円前後ですから、今回紹介するワインのなかでは比較的買いやすい価格だというのもメリットです。
クルテフランカ ヴィーノ ビアンコ
“ピオ エレモジニエーレ”
生産者: ブレダソーレ
魚料理であるならば、ある程度どんな調理方法とも合わせやすいのも魅力のワインです。
価格: 4,378円(税込) [会員価格あり]
クリーミーなバター仕立ての魚料理と合わせたいフランチャコルタ サテン NV カモッシ
スパークリングワインのつくり方はさまざまですが、フランチャコルタ サテン NV カモッシは90パーセントのステンレスワインに加えて、10パーセントのオーク樽を使って作り上げています。
スパークリングワインに分類されるフランチャコルタ サテン NV カモッシは、アンズや白い花の香りを持ちます。
フランチャコルタ サテン NV カモッシの「サテン」とは、5気圧以下のスパークリングワインに用いられるこの地方のみのカテゴリー分けです。
洋服などに使われるサテン同様、なめらかな舌触りを持ち、絹のように楽しむことができる穏やかなスパークリングワインです。
スパークリングワインの好みは人それぞれで、攻撃的ともいえるほどの強い泡を好む人もいれば、なめらかで優しい泡を好む人もいるでしょう。
フランチャコルタ サテン NV カモッシは、後者の人に特におすすめのワインです。
フランチャコルタ サテン
生産者: カモッシ
辛口のスパークリングワイン。色合いはイエロー。アプリコットや白い花の香り。包み込むようなクリーミーな舌触り。調和のとれた骨格と酸味のバランス。
価格: 7,810円(税込) [会員価格あり]
穏やかで優しい口触りは、同じようにクリーミーで滑らかな舌触りを持つバター仕立ての魚料理とよくマッチします。フランチャコルタ サテン NV カモッシはよくバランスのとれた骨格と酸味を持つため、濃厚なバター仕立ての料理のこともしっかりと支えてくれます。
またフランチャコルタ サテン NV カモッシは、ムースやグラタンなどとも非常に相性の良いワインです。そのため、魚を使ったムースやシーフードを使ったグラタンなどと組み合わせても良いでしょう。
カマスと合わせたいフランチャコルタ サテン NV ラ・トッレについて
「カマス」という魚をご存知でしょうか。いくつかの種類がありますが、アカカマスは10月~4月、ヤマトカマスは8月~11月が旬の魚です。
カマスは非常によく食卓に上る魚であり、焼いたり蒸したりして食べられます。刺身や干物にして食べることもできる魚です。ちなみに、日本料理でも使われますし、イタリアンでも使われます。
比較的淡泊な味わいを持つカマスの調理方法のなかでも、比較的簡単なのはやはり「焼くこと」なのではないでしょうか。ここにカボスを添えれば、それだけでもう、「季節の一品」が出来上がります。
この「カマスの塩焼きカボス添え」と相性の良いワインを考えていきましょう。
シンプルなカマスの塩焼きカボス添えと良くマッチするのは、「フランチャコルタ サテン NV ラ・トッレ」です。
フランチャコルタ サテン NV ラ・トッレは、上でも述べた「サテン」に分類されるものです。ただこちらはオーク樽による熟成が14パーセントとなっています。
オーク樽で熟成したワインは、ワインによって多少の違いはあるものの、香ばしいナッツのような香りを持つことになります。また、時にバニラなどの香りを感じることもあります。非常に香ばしく、奥行きのある香りになります。
このため、オーク樽での熟成を経たワインは、淡泊であっさりと仕上がった料理に深みを与える効果を見込むことができます。ワインによる香りによって、さっぱりとした味の料理に複雑な香りを与えることができるようになるわけです。
ヘーゼルナッツの香りやトースト、アーモンドの香りを持つ味わい深いフランチャコルタ サテン NV ラ・トッレは、塩とカボスで簡単に味付けしたカマスの塩焼きカボス添えに深みを与えてくれるはずです。
またその特性を生かし、塩味のたこ焼きなどと合わせてもおいしく食べられます。
ちなみにフランチャコルタ サテン NV ラ・トッレもまた、「サテン」に分類されているので、その泡は穏やかで、なめらかな舌触りになっています。上品でエレガントな味わいであり、スパークリングワイン(やワインそのもの)を飲みなれていない人にも飲みやすいでしょう。
フランチャコルタ サテン
生産者: ラ・トッレ / 750ml [発泡白]
イエロー。熟した果実、トーストやアーモンド、ヘーゼルナッツの香り。
絹のような滑らかな舌触りが心地良い上品な味わい。
第一次発酵 ステンレスタンク 86% オーク樽 14%のキュベを使用。
価格: 7,260円(税込) [会員価格あり]
ロゼワインとサクラマス~フランチャコルタ ロゼ NV モンテ アルトの楽しみ方
ワインと料理のマリアージュ・ペアリングを考える基本として、「色で合わせる」という手法があります。上でも少し触れましたが、「ソース・食材と同じような色を持つワインを合わせると、失敗しにくい」とする考え方です。
その基本にのっとるのが、「サクラマスのムニエル×フランチャコルタ ロゼ NV モンテ アルト」の組み合わせです。
フランチャコルタ ロゼ NV モンテ アルトは、ロゼのスパークリングワインに分類されるもので、美しいラズベリーピンクの色を持ちます。サクラマスもきれいなピンク色をしていますから、この2つの組み合わせは非常に理にかなっているといえます。
味わいの面でも、マッチするところが非常に多い組み合わせです。
サクラマスは繊細な身肉を持ちますが、フランチャコルタ ロゼ NV モンテ アルトもまた繊細で柔らかいテクスチャアを持ちます。お互いがお互いを塗りつぶし合うことなく、優しく共存しているような組み合わせだといえます。
またフランチャコルタ ロゼ NV モンテ アルトは、いちごにも似たチャーミングな香りを持ちます。中盤になると優雅さが感じられ、余韻としてふくよかさが残ります。このようなテイストもまた、繊細で上品、優雅さを持つサクラマスと相性が良いといえるでしょう。
春らしい組み合わせでもありますから、ぜひ春に楽しんでください。
なお、フランチャコルタ ロゼ NV モンテ アルトは最後にわずかな渋みも感じられるため、決して「甘すぎるワイン」ではありません。そのため、イクラなどともよく合います。
フランチャコルタ ロゼ
生産者: モンテアルト / 750ml 発泡 ロゼ
基本は柔らかい味わい。中盤に優雅さを感じ、余韻にふくよかさと少しの渋みがあります。ピノ・ネーロ(黒ブドウ) 100%による長期熟成タイプなので、澱による旨味が魚卵の味わいうまく包み込んでくれます。
「魚料理と合うワイン」は無数にあります。 今回は、「イタリアのロンバルディアのワインで、かつ白ワインもしくはスパークリングワイン」からピックアップしましたが、ぜひお気に入りの組み合わせを見つけてみてくださいね。
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この記事を監修した人
とくやま ゆきよし
メローネ 代表
(一社)日本ソムリエ協会認定 ソムリエ
WSET Level 3 Certified
大手IT企業に17年在籍。データセンタSEとして、企業システムの移行プロジェクトに携わる。
フランチャコルタの美味しさと魅力に触れ、ワインインポーター メローネを起業。
ワインの国際輸送や保管の品質管理には、厳格な品質基準が求められる精密機器の輸送管理で得た知見を応用。現地の味わいそのままをモットーに、生きる喜びに満たされるワインをお届けしている。