私達日本人が、日常で最も触れる機会の多いであろう食事の「和食」。この和食をワインと共に楽しみたい…。ワイン好き・お酒好きであれば、そんな思いを抱いたことがあるのではないでしょうか?
でも和食とワインは合うのか?合うなら選び方にコツはあるの?様々な疑問が浮かんできますね。
今回この記事では、和食に合うワインの選び方のコツやおすすめのワインについて具体的に紹介していきます。
いつもの和食に「ワインとのペアリング」という新しい楽しみ方を見つけてみて下さいね。
もくじ
和食と合わせるワインの選び方を解説 楽しみたい方法でチャレンジしよう
まず「和食とワインは合うのか?」という疑問について結論を述べたいと思います。結論としては、和食とワインは合わせることが可能です。特に後述する「瓶内二次発酵のスパークリングワイン」は、素晴らしいペアリングを楽しめます。
またスパークリングワイン以外にも、選び方のコツを押さえることで和食に合うワインを探すことができます。
和食といっても、味付けから食材まで千差万別。同じくワインも星の数ほど存在します。
そのため和食とワインを合わせるには「選び方のセオリー」を知り、どのようなペアリングを楽しみたいかで選び方を変えることが重要です。
和食に合わせるワインの選びのセオリーは以下の4つです。
- 瓶内二次発酵のスパークリングワインを合わせること
- 和食の「味付けの濃さ」でワインを合わせること
- 「薬味を添える」感覚でワインを合わせること
- 食材の産地とワインの産地を合わせること
それぞれのセオリーについて「ワインの選び方」と「どんなペアリングを楽しめるか」について解説していきます。
選び方1 瓶内二次発酵のスパークリングワインを合わせる
和食と合うワインの選び方として最も万能なのが、瓶内二次発酵のスパークリングワインと合わせる方法です。
瓶内二次発酵のスパークリングワインが和食に合う理由は以下の通りです。
- 瓶内二次発酵特有の、アミノ酸由来の旨味が和食の「出汁」に合うから
- 高品質なワインが多いため、家庭料理から会席料理にまで幅広く合わせることができるから
なお瓶内二次発酵とは、瓶詰めしたワインの中で炭酸を生じさせる伝統的なスパークリングワイン製法のこと。
高級スパークリングワインであるフランスのシャンパーニュや、イタリアのフランチャコルタがこの製法で造られています。
特にイタリアワインフランチャコルタであれば、どの銘柄を選んでも和食との相性に失敗がありません。
そのため、ワイン選び初心者であっても和食とのペアリングを楽しめる点も大きな魅力といえるでしょう。
瓶内二次発酵のスパークリングワインと和食との組み合わせは、こんな楽しみ方をしたい場合におすすめです。
- 様々な味付けや食材の和食に合うワインを選びたい
- 会席料理などのフルコースと共にワインを楽しみたい
- 家庭料理の和食に「特別感」を与えたい
- ペアリングだけでなく、ワイン自体の味も楽しみたい
- 湿気の多い日本の気候と炭酸の相性を楽しみたい
選び方2 和食の「味付けの濃さ」でワインを合わせる
食事の品目ごとにワインを考えたい場合は、和食の味付けでワインを考えるのが基本です。
ポイントは、味付けの濃さとワインの濃さ(色やボリューム)を合わせること。
以下のような楽しみ方をしたい場合、この方法でワインを選んでみましょう。
- 和食の味とワインの調和を楽しみたい
- 料理の邪魔をしないワインを選びたい
- まずは和食とワインのペアリングの基本を知りたい
- 多人数がいる場で和食とワインのペアリングを楽しみたい
味付けの濃さとワインの濃さの組み合わせについては、以下の一覧にまとめました。
味付けの系統 | 和食料理の例 | 特に合うワインの系統 |
塩系 | ・焼き魚 ・焼き鳥(塩) | ・ミネラル感のある白ワイン ・柑橘風味のある白ワイン |
出汁系 | ・炊き込みご飯 ・だし巻き卵 | ・旨味の強い白ワイン ・瓶内二次発酵のスパークリングワイン ・ロゼワイン |
醤油系 | ・肉じゃが ・親子丼 | ・コクの強いロゼワイン ・ライトボディからミディアムボディの赤ワイン |
味噌系 | ・鯖の味噌煮 ・もつ煮込み | ・ミディアムボディの赤ワイン ・木樽熟成の赤ワイン |
甘辛タレ系 | ・ぶりの照り焼き ・焼き鳥(たれ) | ・フルボディの赤ワイン |
選び方3 「薬味を添える」感覚でワインを合わせる
続く方法は、「薬味や調味料」代わりになるワインを選ぶ方法です。例えば、薬味として「刻み大葉」を添える和食料理には、青さやハーバルな香りを持つワインを合わせる…といったイメージです。
このワインの選び方は、次のような楽しみ方がしたい場合におすすめの方法です。
- 意外性のある味の組み合わせを楽しみたい
- 自分で合うペアリングを探したい
- シンプルな料理をワインで引き立てたい
- 自宅で和食をワンランク上の仕上がりにしたい
和食に使われる薬味の種類と、合うワインの系統を一覧にしました。ワイン選びの参考にしてみて下さいね。
薬味の種類 | 合うワインの系統 |
ショウガ | 熟成感のあるスパークリングワイン |
山椒 | スパイシーな赤ワイン |
大葉・ネギ類 | ハーバルな香りのある白ワイン |
和柑橘・レモン | 柑橘風味のある白ワイン |
選び方4 和食食材やワインの産地で考える
ワインの産地で考える選び方とは、次のような考え方のことを指します。
- 海鮮系の和食であれば、海鮮系が食される国・地域で造られたワインを選ぶ
- 肉・ジビエ系の食材であれば、山系食材が食される国・山間地域で造られたワインを選ぶ
ワイン発祥の西洋において、ワイン文化は「地域の食事」とともに発展していった歴史があります。
つまり、食文化が近い地域のワインを選ぶとペアリングも成功しやすくなるのです。
ワイン産地から考える選び方は、次のような楽しみ方をしたい人に最適です。
- ワイン産地について、調べながら選びたい方
- 「海鮮」「山の幸」など、テーマに沿った和食とのペアリングを楽しみたい方
- 地方料理の和食を楽しみたい方
続いて、和食に合うワイン産地の具体例を3例紹介します。
1.イタリア
「海に囲まれている」「国土の中央に山脈がある」「南北に細長い」と、地形が日本に近いイタリア。文化的にも海鮮料理が盛んであり、和食と合わせやすい傾向があります。
イタリアワインと和食を合わせる時のポイントは、海沿いのワイン産地と山沿いのワイン産地を大まかに知っておくこと。以下が代表的な海と山のワイン産地です。
海沿いのワイン産地 (海鮮が多く食される産地) | ・リグーリア州 ・カンパーニア州 ・シチリア州 |
山沿いのワイン産地 (山の幸が多く食される産地) | ・ピエモンテ州 ・フリウリ=ヴェネツィア=ジュリア州 ・トスカーナ州(内陸部) |
和食の食材や産地と傾向を合わせるようにして選ぶと、しっくりとくるペアリングが楽しめます。
2.日本
安定の組み合わせを選ぶなら、日本ワインと和食との組み合わせはやはりピッタリ。基本的にはどこの産地のワインを選んでも合いやすいのが特徴です。
ただし日本ワインは年々数を増しており、産地の個性が出ているワイン銘柄も数多く存在します。和食の地方料理を楽しむ際は、その地域で造られたワインを合わせると素晴らしいペアリングになるでしょう。
3.スペイン・ポルトガル
「海鮮和食に合わせる」ということに焦点を置くと、スペイン・ポルトガルの白ワインは特におすすめです。
スペイン・ポルトガルで栽培される「アルバリーニョ」というブドウからできたワインは、海鮮料理に最適な組み合わせ。「海のワイン」とも呼ばれるアルバリーニョは、塩を感じさせるミネラル感も豊富。天ぷらやシンプルな魚料理と合わせたいワインです。
和食×ワイン 組み合わせとおすすめワインを5例紹介
【すき焼き×ロゼ】フランチャコルタ ロゼ NV カモッシ
フランチャコルタ ロゼ
生産者: カモッシ
こっくりとした醤油味のすき焼きと合わせたいのが「フランチャコルタ ロゼ NV カモッシ 750ml [発泡ロゼ] 」。
甘辛の強い味にも負けないしっかりとした骨格がありつつ、繊細な複雑味を併せ持つ発泡性ロゼワインです。
なおこちらの銘柄は、もつ鍋にもぴったり。家で行うもつ鍋パーティーに開けるワインとしても最適ですよ。
【鰻の蒲焼き×赤】エティケッタ ロッサ 2012/2013 イル ペンディオ
エティケッタ ロッサ 2012/2013
生産者: イル ペンディオ
こちらの銘柄は、タンニンとスパイシー感のバランスが秀逸な赤ワイン。
炭火焼きや燻製料理などとも相性が良く、特に鰻の蒲焼きは体感して欲しい組み合わせです。
胡椒やクローブを思わせるスパイス香が、鰻に山椒を散らしたような感覚を起こさせます。
【アジの南蛮漬け×泡】フランチャコルタ エクストラブリュット NV モンテ アルト
フランチャコルタ エクストラブリュット
生産者: モンテ アルト
和食家庭料理「アジの南蛮漬け」を上質な一皿にしてくれるのが「フランチャコルタ エクストラブリュット NV モンテ アルト」です。
旨味と芳醇な香りが魅力の銘柄で、揚げ油のコクとアジの旨味、南蛮漬けの香味・酸味に絶妙にマッチします。
【水炊き×泡】フランチャコルタ サテン NV コルテ フジア
フランチャコルタ サテン
生産者: コルテフジア
クリーミーな旨味が魅力のフランチャコルタです。
「サテン」とは、あえて気圧を下げることで炭酸の泡を細かくマイルドにしたフランチャコルタのカテゴリー分類。
濃厚な鶏だしの出た「水炊き」と、フランチャコルタの長い余韻が合わさるのは至福のひとときです。
【鶏の唐揚げ×白】クルテフランカ ビアンコ 2019 ブレダソーレ
クルテフランカ ヴィーノ ビアンコ
“ピオ エレモジニエーレ”
生産者: ブレダソーレ
家庭料理でもできる鶏の唐揚げ。レモンをきゅっと絞った一皿に合わせたいのが、こちらの白ワインです。柑橘と相性の良い伸びやかな酸が特徴で、揚げ物の油をスッキリと流してくれます。
唐揚げ以外だと「塩ダレの焼き鳥」も試して欲しい組み合わせ。ボディはあるものの重すぎない質感のワインなので、ジューシーな鶏の脂との相性抜群です。
ユネスコ無形文化遺産に登録され、海外でも大注目の和食。ますますワインとの組み合わせが注目されること間違いなしですね。今回紹介した和食×ワインの組み合わせで、和食とワインの奥深いペアリングを楽しんでいただけたら幸いです。
この記事を監修した人
とくやま ゆきよし
メローネ 代表
(一社)日本ソムリエ協会認定 ソムリエ
WSET Level 3 Certified
大手IT企業に17年在籍。データセンタSEとして、企業システムの移行プロジェクトに携わる。
フランチャコルタの美味しさと魅力に触れ、ワインインポーター メローネを起業。
ワインの国際輸送や保管の品質管理には、厳格な品質基準が求められる精密機器の輸送管理で得た知見を応用。現地の味わいそのままをモットーに、生きる喜びに満たされるワインをお届けしている。