フランチャコルタの奇跡とは?原産地を訪ねたソムリエの解説とおすすめ5選
フランチャコルタは、近年、日本で少しずつ存在感が増しつつありますが、まだなじみが少ないといえるかもしれません。
日本で最高級スパークリングワインとして最も有名なのは、フランスのシャンパーニュではありますが、フランチャコルタは、イタリアの最高級スパークリングワインとして、誕生からわずか34年で最上級の格付けを得たことから、フランチャコルタの奇跡と称されるほどの名声を得ています。
年1回原産地を訪ねてきたソムリエがフランチャコルタの概要と生産地、製造方法や種類、実際にテイスティングしておすすめするフランチャコルタをご紹介します。
フランチャコルタ地域は2003年からご縁があり、近年は年1回程度訪れています。
今回、ソムリエとイギリス発祥のワイン国際資格WSET Level3保有者の観点から、フランチャコルタの原産地をご紹介。約120軒あるフランチャコルタの作り手を吟味したなかから、おすすめ5選をご紹介します。
もくじ
フランチャコルタとはどんなスパークリングワイン?
フランチャコルタとは、北イタリア・ロンバルディア州東部 フランチャコルタ地域のなかで、瓶内二次発酵方式という泡づくりの方法で作られる最高級スパークリングワインのブランドです。
【フランチャコルタ】という1つの名称で、
- 場所(原産地)
- 作り方(製造方法)
- ワイン
のブランド名の3つを意味します。
味わいは、極めて繊細な泡立ちが心地良く、程よい酸と喜ばしい果実味、熟成による豊かな風味が特徴です。
現地リストランテでは、ワインリストのトップに”Franciacorta” (フランチャコルタ)と明記されて次項の”Spumante”(スプマンテ)と区分され、ミラノ・ファッションウィークや、世界最大級のメンズプレタポルテの見本市であるピッティウオモの公式ワインとして振る舞われるなど、感度の高い人たちから支持を集めています。
フランチャコルタ 原産地の特徴 気候と土壌
フランチャコルタDOCGのテリトリーは、東西約20~25km 南北約10~15kmで横長の長方形に近い形です。
関西でいえば、東西は梅田から六甲アイランド周辺、南北は梅田から箕面周辺と想像すると距離感がつかめるかもしれません。
その領域の北端側は、氷河湖であるイゼオ湖岸に接し、西端側はオリオ川岸、南端側はオルファノ山の南麓側を通り、西端側は丘陵に接しています。
また、標高550m以上の全てのゾーンは、フランチャコルタのアペラシオンが求めるブドウの成熟には向いていないため、製造規定として除外されていることも特徴の1つです。約180m~約350mが原産地の平均的な標高です。
イゼオ湖は、さらに北側にあるカモニカ渓谷という渓谷から押し出した氷河の浸食作用によって残された湖です。
その南側にある原産地には、渓谷から岩石が削られてきた氷河の痕跡が残り、様々な土壌が積み重なってできた氷堆積土壌(モレーン)を形作っています。
氷河跡の末端部分は馬蹄形の形状をした丘陵になっていることで、斜面を形成しています。
(写真: フランチャコルタ地域 北西端の街 パラティコからイゼオ湖岸を臨む)
これらの作用で堆積した土壌は、水はけが良いため、農作物の栽培に不向きなやせた土地である半面、ブドウ栽培には最適です。地質調査により、現在は6種類に区分されていて、6つの区分が複雑に入り混じった土壌です。
また、プレ・アルプス山脈からイゼオ湖北側に擁するカモニカ渓谷を通って、冷涼な空気や風が入り込むので風通しが良く、日中はイゼオ湖面の水温により温和な気温が保たれます。本来、湖の周辺は、水温の作用で緩やかな気温変化となるのですが、渓谷から冷涼な風が吹き込むことで、日中と夜間に寒暖の差がでるというのも特徴です。
この作用で1日の最高気温と最低気温の差(日較差)がブドウ栽培に適しているのです。
微気候では、緯度があり、直接的に冷涼な風を受ける北側のイゼオ湖岸エリアは、生育期間の平均気温が15.8℃~16.3℃で、冷涼な気候区分(16.5℃以下)に属します。
南側になるにつれて、生育期間の平均気温が16.8℃~17.6℃になり、温和な気候(16.5℃~18.5℃の範囲)に属します。
湖から流れ出す西側のオリオ川岸周辺は水流も影響して、より通気が良いエリアになります。
(写真: イゼオ湖岸 クルザーネにあるフランチャコルタの作り手 モンテアルト ピノ・ネーロのブドウ畑)
イゼオ湖から距離がある東側のエリアは、湖水による影響が少なくなることで内陸性になり、大陸度の度合が上がることで年間の寒暖差は大きくなります。一方、1日の最高気温と最低気温の差(日較差)は北側よりは小さくなります。生育期間の平均気温は16.8℃~17.3℃の範囲内で、温和な気候に属しますが、標高の高さで冷涼な気候になる地点もあります。
なお、東側でトロンピア渓谷沿いのエリアは、チェッラーティカDOC(1968年認定)という赤ワインの原産地でもあり、さらにその一部はロンキ・ディ・ブレーシャIGT(1995年認定)という、全く別の原産地のテリトリーとフランチャコルタDOCGのテリトリーが重複しています。
南側は、東西に走るオルファノ山(モンテオルファノ)の山稜の影響が大きくなります。
モンテオルファノは、ポー平原の海底隆起作用でできた山で、ここの土壌は、典型的な氷堆積土壌とは異なり、山の風化作用で堆積した崩積土という土壌区分になります。
南麓側は、平均気温17.6℃と、フランチャコルタ地域で最も温和な気候です。
北麓側は、イゼオ湖側から吹いてきた冷涼な風が東西に走るモンテオルファノにぶつかって、空気循環が起きるため、通気が良くなります。
(写真: モンテオルファノ北麓側で馬蹄形丘陵の南西斜面にあるフランチャコルタの作り手 サン クリストーフォロ ピノ・ネーロのブドウ畑)
年間降雨量は、約1,000mm~1,300mmで雨が多いことで知られています。
特に北側にある湖岸エリアは、湖面と上空の温度差により雲量が増えることで降雨量が最も多く、霧もよく発生することで、日較差を大きくする1つの要素にもなっています。
ブドウ畑の土壌の水はけの良し悪しがブドウ栽培に大きな影響を与えます。
(写真: イゼオ湖)
フランチャコルタの奇跡と言われるその歴史と由来
フランチャコルタの呼称には長い歴史があります。11世紀にこの地にクリュニー会修道士たちがこの地にやってきました。この領地は瘦せた土地の為、関税を課せられない地となり、いわゆるクルテス・フランケ関税免除の領地(ラテン語名curtes francae)と呼ばれるようになりました。これがフランチャコルタ由来の一説です。
この地域のブドウ栽培の歴史としては、16世紀からすでにワインが造られていました。
自然発酵したワインをボトルで調製する技術と人体への作用に関する世界で最初の出版物の1つは、1570年 ブレーシャの医師ジローラモ コンフォルティによって『Libellus de vini mordaci』というタイトルで書かれ、この医師は、瓶内での発酵由来のピリピリとした刺激のあるワインを確認しています。
現代のフランチャコルタにおける歴史は1961年から始まります。当時は11の生産者、ぶどう畑の総面積29ヘクタール、生産量はピノ・ディ・フランチャコルタが2.000ヘクトリットル(20万リットル)でした。
1967年 フランチャコルタとして、DOCに認定されます。
1995年 フランチャコルタは瓶内二次発酵方式のみで造られるイタリア・ワインとして初めてのDOCG統制保証原産地呼称の認定を受け、フランチャコルタの生産方式が認められました。
イタリア国内のワイン産地は非常に長い歴史がありますが、1961年の誕生からわずか34年でイタリア最高格付けであるDOCGの認定を受けたことは、イタリア国内では驚くべき快挙として「フランチャコルタの奇跡」とまで言われることになりました。
フランチャコルタの奇跡と言われる秘訣の1つは厳しい製造規定から
フランチャコルタは、フランチャコルタ協会の厳格な規定に従い、瓶内二次発酵方式(メトド・クラッシコ)で作られています。
フランチャコルタの使用品種は4品種
フランチャコルタで使用するぶどうは、4種類のみです。
- シャルドネ
- ピノ・ネーロ
- ピノ・ビアンコ
- エルバマット
シャルドネ
シャルドネは白葡萄の高級品種。フランチャコルタの主力品種で、現在、総面積の約80%に相当する2,000haを占めています。
このシャルドネから作られたワインは、優れた質感、豊潤で香り高く複雑なアロマ、フルーティーでフローラルな鼻に抜ける香り、しっかりとしたストラクチャー、心地良い酸味が特徴です。
(写真: フランチャコルタの作り手 サン クリストーフォロ 2018年収穫のシャルドネ)
ピノ・ネーロ
ピノ・ネーロはフランチャコルタで二番目に多く栽培されている品種で、総面積の約15%を占めています。
(写真: フランチャコルタの作り手 ラ・トッレ 2018年収穫のピノ・ネーロ)
ピノ・ビアンコ
ピノ・ビアンコはフランチャコルタで三番目に多く栽培されている品種です。フランス原産でピノの系統に属します。現在、総面積の約3%を占めています。
エルバマット
ランチャコルタ地域があるブレーシャ県の白ブドウの土着品種です。サテン以外のカテゴリに最大10%までの使用が許されています。しっかりした酸味やフレッシュさを備えています。2017年7月に使用品種として認められました。酸が高いために地球温暖化に向けた対応と、土着品種を見直すという傾向に対応したものです。
現在、幾つかの生産者だけが栽培しており、商品化・出荷されているフランチャコルタには、まだブレンドされていません。また、エルバマットは晩熟のため、3品種収穫後に再度収穫する必要があります。2回収穫する必要があるため、各ワイナリーの今後の動きに注目されます。
フランチャコルタの厳格な製造規定
まず、ブドウ栽培に規定があります。畑の配置に関する環境条件や、標高(550m以下)、植密度、植栽、収穫量(最大12t/ha)なども決められています。
ブドウは全て手摘み収穫です。収穫箱のサイズも決まっております。収穫時に良いブドウを選別することが可能で、容器のサイズが定められているため、房が重みで破裂することも回避されます。
収穫したブドウをそのまま圧搾することが製造規定で決められています(全房圧搾)。
搾汁率は65%以下です。 除梗や破砕といったブドウの果梗を取り除いて破砕することはありません。
除梗や破砕の工程がなく、全房で圧搾すること、また、搾る割合も低く抑えられているために、酸化することなくフレッシュなブドウ果汁を得ることができます。
(写真: 空気圧式圧搾機内部の様子)
ベースワインを作りは、通常約17℃ほどで温度管理されたステンレスタンクで第一次発酵します。
数パーセントを樽発酵させたり、近年ではアンフォラを使用するワイナリーもあります。
(写真: フランチャコルタの作り手 ブレダソーレのステンレスタンク。区画ごとに分けて発酵。区画の個性を見極めて、ハウススタイルを念頭におきながら、瓶詰時にブレンド)
泡を作る方法は、瓶内二次発酵方式です。ワインを瓶詰めするときに、新たに酵母と蔗糖を加えます。
瓶の中で酵母が糖分を消化することで、二酸化炭素とアルコールに変化。
その炭酸ガスが瓶内に封じ込められ、ワインに溶け込むことにより、発泡酒特有の泡の成分になります。
この際、発酵の働きを終えた酵母が澱(おり)となって、瓶の腹部に溜まっていきます。
この澱が数ヶ月経過すると自己分解が始まり、ワインに化合物を放出します。
これが第2アロマと呼ばれる熟成由来のビスケットやトーストのような風味になります。
(写真: 沈殿した澱 フランチャコルタの作り手 コルテフジアにて)
瓶内二次発酵の最終段階では、動瓶という工程があります。
酵母の澱(おり)を瓶の口の方に集めるために、澱下げ台(プピートル)に差し込まれた瓶を毎日手作業で8分の1回転させ、瓶の角度も高くしていきます。
職人の手で時間と手間をかけての作業になります。
近年、ワイナリーの大小に関わらず、ステンレス製の大きな正方形のカゴを全自動で回す事が出来る機械(Giro pallet ジーロパレット)で数時間かけて角度を高くしつつ、回転させながら動瓶作業を行うワイナリーも多くあります。
フランチャコルタの瓶内熟成期間は、最低18ヶ月と決められています。シャンパーニュの最低15 ヶ月 やカヴァの最低9 ヶ月 に比べ、熟成期間の違いにおいても非常に厳しい規定になっています。長期間熟成させることによって、きめ細やかな泡になり、長く寝かせることで味わい深くなります。
甘味付け(ドザージュ・ドザッジョ)とフランチャコルタ
溜まった澱を取り除いた後、瓶口を真下にした垂直状態で溜まった澱を特別な機械で凍らせて、瓶を上向きに直し、栓(王冠)を外して気圧により澱を抜きます。
この時に目減りした分をワインにリキュール(各カンティーナの白ワイン<リザーブワインを加える場合もあり>と糖分で作った、言わばシロップ)を加えて、味わいや残糖量を調整します。
(写真: 澱を急速冷凍させている様子。2021年 フランチャコルタの作り手 サン クリストーフォロにて)
瓶内二次発酵方式では、この工程で最終的な甘口・辛口を決定づけます。この甘味付けの量は、各ワイナリーのハウススタイルに委ねられます。
基本的に酸が高いブドウから作るスパークリングワインは、高い酸とのバランスをとるために添加量が多くなりがちです。一方で、そもそも程よい酸で、ブドウの糖度が高いブドウから作るスパークリングワインは、最終工程でさらに糖分を添加する必要も無い(ノン・ドザージュタイプ、ドザージュ・ゼロ)か、低く抑えがちです。
高緯度であり冷涼なシャンパーニュ地域より緯度が低く、温和な地域に属するフランチャコルタの作り手は、後者の方が多い傾向にあります。前者のスタイルで作る生産者もあるので、フランチャコルタを選ぶ際は、ドザージュ時の添加量と最終的な残糖量を目安に選ぶとよいでしょう。
なお、イタリア自然派ワインの著名評価誌『スローワイン』では、土壌を活かしたワインを掲載定義としています。スパークリングワインにおいては、土壌を活かす=ブドウを活かす ということから、ドザージュは、ノンドザージュか、エクストラブリュットまでのワインだけが掲載されています。
フランチャコルタの種類とカテゴリー
フランチャコルタは、 5種類のカテゴリーがあります。 フランチャコルタ・サテン・ロゼ・ミッレジマート・リゼルヴァです。
フランチャコルタ
フランチャコルタは、ワイナリーのベースとなるワインカテゴリーです。
■使用品種
シャルドネおよび/もしくはピノ・ネーロ、ピノ・ビアンコ、エルバマット。
50%を上限にピノ・ビアンコ、10%を上限にエルバマットの使用が認められています。
■特徴
瓶内二次発酵と酵母の澱を入れたままの熟成期間は最低18ヶ月。収穫期から数えて、醸造と熟成期間は最低25ヶ月に及びます。ガス圧は5~6.5気圧。
フランチャコルタ ロゼ
■使用品種
ピノ・ネーロ(最低35%) 、シャルドネ(最大65%)、ピノ・ビアンコ(50%を上限とする)、エルバマット(最大10%)
■特徴
赤ワインとして醸造したピノ・ネーロをブレンドすることはできません。 ピノ・ネーロの果皮をブドウ果汁と数時間(各ワイナリーにより違う)一緒に漬け込むことで色合いを出すセニエ方式でロゼを作ります。
ピノ・ネーロで作ったロゼをベースワインとして、ピノ・ネーロ100%で作るか、ピノ・ネーロのロゼにシャルドネおよび/もしくはピノ・ビアンコとエルバマットのベースワインをブレンドして作ります。
瓶内二次発酵と酵母の澱を入れたままの熟成期間は最低24ヶ月(2年)。
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フランチャコルタ サテン
フランチャコルタには、世界で唯一称することができる「サテン」というカテゴリーがあります。
条件は2つ。白ブドウ(シャルドネ、ピノビアンコ)だけで造るブラン・ド・ブランであること。ガス圧は5気圧以下で作ることです。
極めて細かく持続性のある泡立ちはクリーミーと表現したいほど繊細です。 フランチャコルタのUSP(独自の売り)はなに?と聞かれた際は、サテンがあるというのが1つ言えるでしょう。
■使用品種
シャルドネ(主な品種)および、50%を上限としてピノ・ビアンコの使用も認められています。
■特 徴
厳選されたベースワインのブレンドと5気圧以下の内圧による滑らかな口当たり。ブリュットのタイプ(ドザージュの量)のみで造られます。
瓶内二次発酵と酵母の澱を入れたままの 熟成期間は最低24ヶ月(2年)。
■使用品種
シャルドネ(主な品種)および、50%を上限としてピノ・ビアンコの使用も認められています。
フランチャコルタ ミッレジマート
ミッレジマートは特別に品質の良いヴィンテージで作られます。マルチ・ヴィンテージ(複数のヴィンテージのブレンド)よりも長くイースト・コンタクトを行う事により、更に上のクラスのワインとなります。シャンパーニュの“ミレジメ“に相当します。
■使用品種
シャルドネ、ピノ・ビアンコ、ピノ・ネーロ、10%を上限にエルバマット
■特徴
ミッレジマートは作柄の品質が特に良く、キュヴェ(収穫年度表示無しのフランチャコルタに使われるブレンド)よりも長い熟成期間を経るとワインの価値が高まる収穫年度に造られます。
瓶内二次発酵と酵母の澱を入れたままの熟成期間は最低30ヶ月。収穫の時期から市場に出荷されるまでに最低37ヶ月かかります。
フランチャコルタ リゼルヴァ
フランチャコルタ リゼルヴァは、極上品質のミッレジマートです。単一ヴィンテージ(85%以上)でできている事を意味します。その香りと味わいを最大限に際立たせるために、酵母の澱を入れたまま何年間も熟成させて造ります。
■使用品種
シャルドネ、ピノ・ビアンコ、ピノ・ネーロ、10%を上限にエルバマット
■特 徴
瓶内二次発酵と酵母の澱を入れたままの 熟成期間は最低60ヶ月(5年)。収穫の時期から市場に出荷されるまでに最低67ヶ月(5年半)かかります。
フランチャコルタを製造している主な生産者
フランチャコルタの生産者は、1961年誕生でその発祥となったグイド・ベルルッキ、フランチャコルタの発展に多大な影響を与えた、大手生産者カ・デル・ボスコやベラヴィスタなどがあります。
1990年代からは、新規で創業する生産者が増え、厳しい製造規定のうえに品質を競い合う新しい時代になりました。特にシャンパーニュのレコルタン・マニュプラン(RM)のような小規模生産者により、ブドウ栽培から醸造まで自社で一貫して行う小規模経営の職人的な造りから個性的な味わいを生み出しています。
フランチャコルタのおすすめ商品5選
フランチャコルタ地域南端の最も温和な気候にある生産者から、アペラシオンを代表する土壌である氷堆積土壌を活かした生産者、生育期間の平均気温が16.5℃以下で冷涼な気候に属する北西端の生産者です。総じて言えるのは、きれいで透明感があるフランチャコルタです。
1990年代や2010年代創業と、後発ながらも数年で既にイタリアのスパークリングワイントップ100や自然派ワインの権威ある評価誌『スローワイン』に選出されるといった、イタリアを代表する作り手として頭角を現してきています。
フランチャコルタのおすすめ銘柄
・フランチャコルタは初めてなので、いろいろ試してみたい人
フランチャコルタ ブリュット 飲み比べ3本セット
・サンクリストーフォロ フランチャコルタ ブリュット(750ml)
・カモッシ フランチャコルタ ブリュット(750ml)
・ラ・トッレ フランチャコルタ ブリュット(750ml)
フランチャコルタ 小規模生産者 3本セットです。
3つのワイナリーは、フランチャコルタDOCGの中心地エルブスコとアドロに位置。ブドウ畑は、氷河跡の末端部分である丘陵の斜面に位置しています。土壌は、フランチャコルタのアペラシオンを代表する氷堆積土壌(モレーン)です。
違いは、ブドウ畑の配置の考え方です。これによって味わいがずいぶん変わります。
・サンクリストーフォロ:エルブスコで丘陵南側一帯のみ
・カモッシ:エルブスコで丘陵南側、中東部のプロヴァリオ ディイゼオ、北西端のパラティコという広範囲で分散配置されていること
・ラ・トッレ:ワイナリーがあるアドロで丘陵の北東側をはじめ、丘陵の東西の近接域に集中しながらも分散配置されていること
です。
(左)サン クリストーフォロ フランチャコルタ ブリュットは、シャルドネ100%。辛口のフランチャコルタで、キリっとしたストレートな味わい。瓶内二次発酵期間の規定が18カ月に対して、最低30ヶ月に加えて瓶熟成6ヶ月。規定より2倍の時間をかけてゆっくり長期熟成。それでいてフレッシュな風味が先にあり、熟成による風味と調和した味わいに仕上がっています。
魚から肉まで様々なお料理に合わせやすく、ペアリングが楽しめる1本。併せるお料理に迷った時ならコレというぐらい手間いらずです。
(中)カモッシ フランチャコルタ ブリュットは、シャルドネ90%・ピノ・ネーロ10%。様々な場所の畑で作ったブドウによるブレンド選択肢の多さにより、辛口ながらも上品にまとまり、バランスがとれた味わい。
カルパッチョや、焼鳥(塩)、焼肉にも十分合わせられる1本。BBQに持って行った時は、お肉と良く合って本当に美味しかったです。
(右)ラ・トッレ フランチャコルタ ブリュットは、シャルドネ90%・ピノ・ネーロ10%。辛口で柑橘系の香りにミネラル感があり、バランスよくニュートラル。出汁や和食に合わせたい1本。カニ鍋で合わせた時は、カニのうま味とこのフランチャコルタで、無限ループに陥るほど美味しかったです。
18,260円のところ 価格 12,820円 (税込)
フランチャコルタ ロゼのおすすめ銘柄
・辛口のロゼ スパークリングワインが好きな人
・インスタ映えする写真を撮りたい人
フランチャコルタ ロゼ ブレダソーレ
ピノ・ネーロ 100% / 瓶内二次発酵 最低28ヶ月 / 洗練熟成 最低6ヶ月
ブレダソーレは、1977年創業。イゼオ湖南西岸でフランチャコルタ地域最北西端のパラティコで、フェラーリ3兄弟が営む家族経営のワイナリーです。
パラティコは、フランチャコルタ地域で最北西端に位置することから、最も冷涼なエリアの1つです。その丘陵上で、イゼオ湖からオリオ川に変わる場所にワイナリーがあります。ワイナリーに隣接した畑は、全て単独所有畑。ワイナリーと畑がある段丘下には、イゼオ湖から流れ出たオリオ川が通り、水流による風が吹く通気がよい場所です。
土壌は表層氷堆積土壌で、最も水はけが良い土壌。大小の石が散在し、高い保温性と、「ブレダソーレ」はイタリア語で「太陽のあたる場所」という名の通り、丘陵上による日照やイゼオ湖からの反射光があるなど、ブドウ栽培に良好なポイントが揃っています。
また、湖の北側にある渓谷から冷涼な風が直接吹き込むことや、日中は水温による作用で、日中と夜間に寒暖の差がでるというのも特徴です。
そうした畑から作られるブレダソーレの特徴は、果実味の豊かさ。
フランチャコルタ ロゼは、サクラ色。イチゴの非常にチャーミングな香り。香りは甘く、味わいはドライです。穏やかな酸味で飲み飽きない味わいです。
価格 7,150円 (税込) [会員価格あり]
フランチャコルタ サテンのおすすめ銘柄
・他にどこにもないスパークリングワインを探している人
・ノン・ドザージュタイプの極辛口スパークリングワインが好きな人
フランチャコルタ サテン コルテフジア
シャルドネ 90% ピノ・ビアンコ 10% / 瓶内二次発酵 最低 24ヶ月 / 澱抜き後洗練熟成 最低 4ヶ月
コルテフジアは、フランチャコルタ地域の南端コッカーリオにある5haの畑から年間3万本のみを生産する小規模ワイナリーです。
100%自社畑でモンテオルファノ南麓側の斜面に位置。「モンテオルファノのフランチャコルタを作る」という哲学のもと、標高175mの山麓の畑から、中腹、山頂付近の280mの畑にあり、標高差を利用した畑と、この山特有の土壌、微気候を最大限に表現。
2010年創業と後発ながら、6年でイタリア自然派ワインの著名評価誌『スローワイン』での受賞をはじめ、イタリアソムリエ協会若手醸造家小規模ワイナリー部門で最優秀賞を受賞するなど、頭角を現しています。
フランチャコルタ サテンは、収穫年で100%使い切り、リザーブワイン無しで、ノン・ドザージュ。フランチャコルタ地域の南端で糖度があるため、リキュール添加をする必要がないためです。
一般的には、シャルドネ100%でつくるサテンが多い中、ピノ・ビアンコを少しブレンドして味わいにアクセントをつけているのも特徴。
味わいは、非常にドライでサテン特有のクリーミーな口あたり。柑橘系とトースト香に加えて、この土壌が産み出すミネラル感がバランスよくまとまり、飽きることなく楽しめるスタイルです。日本の入荷は、年間180本の限定本数です。
価格 10,010円 (税込) [会員価格あり]
フランチャコルタ ミッレジマートのおすすめ銘柄
・お祝い事やちょっと良いことがあって、家で華やかな時間を過ごしたい人
フランチャコルタ ミッレジマート 2014 サン クリストーフォロ
シャルドネ 80% ピノ・ネーロ 20% / 瓶内二次発酵 最低 40 ヶ月 / 澱抜き後洗練熟成 最低 8ヶ月
サン クリストーフォロは、1992年創業。ブルーノ・ドッティと妻クラウディアから始まり、現在は、一人娘のチェレステが引き継ぐ、家族経営のワイナリーです。
自社所有畑は10ha。フランチャコルタDOCGの中心地エルブスコで、ワイナリー隣接の南西向きの畑と、近隣の平地と緩斜面にある畑の3箇所です。いずれもフランチャコルタのアペラシオンを代表する氷堆積土壌。氷河跡の末端部分である丘陵の斜面に位置しています。斜面を利用した半地下のワイナリーは、1年を通して温度が一定のため、安定した品質の醸造が可能。
創業者ブルーノの「自分が納得するものしか商品化しない」という哲学と、今なお自らトラクターで畑に出向き、ブドウ作りに情熱を注いで働く姿が高い品質を生み出し、イタリアのスパークリングワイントップ100や自然派ワインの権威ある評価誌「Slowine」に選出されたことがその証左と言えるでしょう。
フランチャコルタ ミッレジマート 2014は、ベースワイン作りにステンレスタンクと、わずかにオーク樽を使用。48ヶ月という長期熟成により、やや濃い黄金色。熟したフルーツ、桃や梨、柑橘系やハチミツの香り。
しっかりとした骨格。ほどよい酸味とミネラル分が良く調和。ほのかな樽の香りと複雑な味わいで、長い余韻が楽しめます。
価格 9,460円 (税込)[会員価格あり]
フランチャコルタ リゼルヴァのおすすめ銘柄
・ワイン好きの相手にワインを贈って喜んでもらいたい人
・ワイン好きに贈っても確実に失敗が無いものを探している人
フランチャコルタ リゼルヴァ 2009 カモッシ
ピノ・ネーロ 100% / 瓶内二次発酵 最低 60 ヶ月 / 澱抜き後洗練熟成 最低 12ヶ月
カモッシは、フランチャコルタDOCGの中心地エルブスコで、クラウディオとダリオ兄弟による家族経営のワイナリー。
100%自社所有畑で24ha。ワイナリーがあるエルブスコ、最北西端でピノ・ネーロのみ栽培するパラティコ、中東部のプロヴァリオ ディイゼオという、土壌の違いが明確な3か所に分散配置。ブレンドは畑、品種、比率で数多くの選択肢から、バランスを重視したスタイル。
ドサージュは、同年収穫の白ワインに白ワイン原料で生成した糖分を添加。この蔗糖不使用のソロ ウーバ方式(Metodo soloUva)がカモッシ最大の特徴。さらに調和した味わいになります。
フランチャコルタ リゼルヴァは、最良質の黒ブドウ ピノ・ネーロを白ワイン醸造したブラン・ド・ノワールタイプ。ブドウ畑は、最も冷涼なエリアの1つにあり、フランチャコルタ地域北西端でイゼオ湖岸に面したパラティコという街。畑の西側はイゼオ湖から流れ出たオリオ川が通り、水流による風が吹く通気がよい畑です。
72ヶ月という長期熟成で仕上げていますが、ブドウ本来のフレッシュな香りもしっかりと残り、黒ブドウのふくよかさ、熟成によるハツチツのような凝縮感が楽しめます。日本の入荷は30本。プレステージのため、両年のブドウが収穫できた年だけの仕込みです。
価格 14,630円 (税込) [会員価格あり]
さいごに
いかがでしたか? イタリアでフランチャコルタの奇跡と称されるほどの名声を得たその足取りの解説と、おすすめフランチャコルタをご紹介しました。フランチャコルタが飲みたくなってきたでしょうか。
メローネのとくやまでした。