コルテ フジア
Società Agricola Corte Fusia
コルテフジアは、フランチャコルタ地方の南西端・ブレーシア県のCoccaglio(コッカーリオ)村に位置します。30歳代前半の若き醸造家が造る新進気鋭のワイナリーで年間約30,000本だけの少量生産。
所有するブドウ畑はフランチャコルタ地域の最南端、オルファノ山の頂上2局部に分かれていて、シャルドネ、ピノネーロ、ピノビアンコの3種類を合計で5ヘクタール栽培しています。他のカンティーナの畑より少し気温と高度が高い事と、小石混じりや、粘土質、石灰質な土壌が醸造に影響を与えています。
コルテフジアは、エノロゴ(ワイン醸造専門家)のダニエレ ジェンティーレ(DANIELE GENTILE)とアグロノモ(農学士)のジジ ネンブリーニ(GIGI NEMBRINI)という30代前半の若い二人が2010年から始めたカンティーナです。二人はもともと親友で、故郷で数年ぶりに再会し、共通のワインへの情熱を形にしようと考えたのが始まりです。
コルテフジアの由来と銘柄・ボトルデザインについて
コルテフジアの名前の由来は、彼らに最も影響を与える、オルファノ山の近くにある、流れの速い川の名前から取ったものです。小さな川ですが、水流に勢いがあり、水も澄んでいてこの川を挟んで彼らの畑が点在します。
現在、5種類のフランチャコルタを醸造していますが、全てノンドザージュで作っており、スティルワインは、醸造していません。フランチャコルタだけ生産し、全てノンドザージュで生産しているカンティーナは、地域の中で、コルテフジアだけです。リザーブワインを所有しない方針で、5種類中3種類がNV扱いで、表記されていませんが、5種類全て、同一年の収穫のブドウで生産しています。
ブリュットからミッレジマートまでのボトルを並べると彼らの畑があるオルファノ山の稜線を描くようになっています。
若いふたりが営むカンティーナらしく、ビジュアルにも独自のセンスが光ります。
カンティーナ内にはボトルを使ったオブジェも多数あり、若いアーティスト達との交流が伺えます。
昨年2017年に初のリセルヴァをリリース。わずか1000本の生産量で、当初、各買い手の割り当てが6本のみ!という事でしたが、交渉の末、メローネは何とか30本を確保しました。
加盟団体と評価
FIVIという、自社畑のみでワインを生産している小さな作り手ばかりを集めた組合にもコルテフジアは参加しています。近年では、VinitalyでもこのFIVIのブースにて出展しています。
また、スローフード協会が監修する、スローワインというワインガイドブックにも掲載されています。
スローワインもその土地の特徴を生かしたワインの作り手のみを掲載するガイドブックとして知られており、イタリアでは非常に高い評価を受けています。
彼らのフランチャコルタはまさに唯一無二。
彼ら自身もオンリーワンであることにこだわりと誇りを持っています。
作り手としての哲学
フランチャコルタ地域で一番美味しいと言われるフランチャコルタを作りたいのではなく、自分達にしか作れないフランチャコルタを作りたい!自分達が育ったこの土地を表現するフランチャコルタを作りたいのだ。と熱く語ります。
ドザージュやリザーブワインのブレンドなどのテクニックを駆使すれば、フランチャコルタ1のワインを作ることも可能かもしれない。でもそんなことには興味はない。ときっぱり。
なぜなら、そんなことをしてしまうと、どんなワインも全て同じ味になってしまう。それでは自分達のフランチャコルタである意味がないだろう?と。
気持ち良いくらいに潔く、若々しい作り手です。
とはいえ、まだまだ若い作り手。生産量はそれほど増やすつもりはないそうですが、財政的にもまだ安定していないので、是非皆様に応援してもらい、育てていって貰いたい作り手です。
大手の作り手はPRや大々的な広告を打つことができ、また大量生産により低価格での提供が可能ですが、彼等にはそんなことはできません。また彼らもそんなお金があれば、広告よりもワイン作りの為に費やしたい!と言っています。
コルテフジアにしか作れないフランチャコルタを是非日本の皆様にも味わって頂きたいです。
映像によるコルテフジアのご紹介
作り手としての思いを自ら語って頂きました。人柄を感じて頂ければ幸いです。
フランチャコルタの作り手 コルテフジアとの出会い
彼等との出会いは、2013年の11月。
メローネとしてフランチャコルタを輸入するにあたり、何処か良いカンティーナはないか?とさがしていました。ネットで色々と見ていた時に彼らのホームページに目が留まり、他のカンティーナとは違う、とてもスタイリッシュで、オリジナリティ溢れるホームページに興味を持ちました。
そして訪問してみようと電話をかけたのが、土曜日の夕方。既に夕方5時をまわっており、今日は無理だろうと、月曜日のアポイントを入れようと思いました。ところが、月曜日から試飲会の為ローマにいくので、今からだったらいいよ!の返事。
え?もう着いたら遅くなってしまうけど・・と言っても、大丈夫!待ってるよ!という明るい返事にちょっと戸惑いながら車をコッカーリオへと走らせました。
11月ということもあり、あたりは既に真っ暗。カンティーナの看板もなく、こんなとこに本当にフランチャコルタのカンティーナがあるんだろうか・・と不安になりながらも到着。
呼び鈴を押すと出てきたのがエノロゴ(醸造責任者)であり、共同経営者のダニエレでした。確か当時まだ30歳になったばかり。こんな若い子が作ってるフランチャコルタって?とまたまた不安に。
ところが!まず案内された第1次熟成をする為のステンレスタンクが並ぶ醸造所で、フランチャコルタの土壌分布図を前に学校の先生さながらに彼は語り始めました。
「キミたちはエルブスコなどの名産地と呼ばれる地域でしか良いフランチャコルタを生産することができない、と思っているかもしれないが、それは違う!」
まずこの力強い言葉にびっくりしましたが、その後もエノロゴらしい専門的な説明が続き、コルテフジアという作り手に対する期待度が更に高まりました。
そしてお待ちかねのテイスティング。どんなにフィロソフィがしっかりしていても、ワインが美味しくなければ意味がありません。まだ気は抜けない・・と思いながら、彼が用意してくれた、2010年のブリュットをテイスティング。この時のブリュットはシャルドネ50%ピノネーロ50%でした。それはまさに彼らが作った最初のフランチャコルタ。そして勿論ノンドザージュ。
それまで飲んだピノネーロの比率が高いブリュットがあまり好みではなかった為、ピノネーロが50%、と聞いてどうだろう?と思いましたが、そんな疑念は一口でどこかへ行きました。
美味しい!シャルドネのきりっとした味わいとピノネーロのふくよかさが絶妙のバランスで、また自分たち好みの辛口!その場で日本に輸入したい旨を説明し、交渉に入りました。
その時すぐに、自分達は今後も大量生産するつもりはないので、沢山の本数を注文されても困るし、売り切れたらそれでおしまい。それでも良い?と聞かれて、そういった姿勢にも共感できたので取引をさせてもら事になりました。この時も確か数本買って帰り、家で抜栓し翌日の泡の状態や味わいの変化を確認しましたが、全く問題なし!これは宝物を見つけた!と嬉しい出会いでした。
その次に訪問した時には、既にこの後友達のやってる店でアペリティーボにいくけど一緒にこない?と誘ってくれて、その後もカンティーナに行く度にアペリティーボや食事に誘ってくれます。
クリスマスには家族そろってのお食事会に参加させて頂き、また共同経営者のジジの実家でもお昼ごはんをご馳走になったり、と家族ぐるみで仲良くしてもらっているカンティーナです。
アグロノモ(農学士)でもう一人の共同経営者、ジジについても少し。
話始めたら止まらないダニエレと対照的な物静かなジジ。とても穏やかでいつも優しい笑みを浮かべえている好青年です。
畑の責任者なので、土壌やブドウの栽培に関しては彼が専門。
畑を案内してくれた時に、彼らの畑のすぐ隣にある畑を指さし、「あの畑はダメ。水はけが悪い。あと、風の通りも悪いんだ」と説明してくれました。一見すると同じ場所にある同じようなブドウ畑。素人目には何が違うのかわかりませんが、彼はちゃんとあらゆる角度から調査をし、畑を吟味しています。
昨年、2017年の春にフランチャコルタを襲った霜も、彼らの畑は標高が少し高い傾斜の畑が多い為、あまり影響はなかったそうです。
フランチャコルタ地域でも最南端に位置しているので、収穫もどこよりも早く行われます。
物静かで学者肌なジジと明るく活発なダニエレ。
ワインはうそをつきません。作り手を鏡のように映し出します。
まっすぐな情熱を持った二人の作る、彼らにしか作れない若さ溢れるフランチャコルタを是非ご賞味ください!